~ 養蜂家が考える、これからの森について ~

 

 

ここ数年間、みつばち達が集めてくる蜜が急激に減ってきています。

それは世界的にも、はちみつの生産量が不安定になっていることに現れています。

 

花の咲く時期がずれる木々…暑さと乾燥で蜜を吹かない花…新たな病害虫に侵される花木…

 

そんな環境の中、まだ、みつばち達は元気に暮らしています。

しかし、私達に恵みを分けられるほど、余裕がない状況になってきているのです。

 

これ以上にこのペースで環境が変化したら・・・

植物だけの問題ではなく、みつばち(昆虫)達が減りだしたら・・・

人類は思いの外早い段階で食糧難の危機を迎えるかもしれません。

 

気候の変化で変わった環境に、植物がついていけていないことが、

すでに養蜂家の目には顕著に見え始めています。

 

人の手で環境を変えてしまったなら、その変化に合わせた、

未来を見据えた柔軟な、変えていく森創りも必要なのではないかと考えます。

 

森を見て樹々が生きていても、その恵みが失われていて、

その恩恵に支えられていた多くの生物が圧迫され始めていることには、

森に生きていなければ気づくこともありません。

 

人は暮らしのなかで森に入ることは稀になっていますが、

その暮らしが森から離れている訳ではありません。

 

暮らす家だけではなく、人を田畑を潤す水も、足元にある大地ですらも、

住まう場につながる森が支えているのです。

 

これ以上に暑くなっても、乾燥しても、風が吹いても、寒冷化しても、

一部が環境についていけなくても他が機能して、

充分な多様性を維持し続けられる複合的な植生を創っていく。

 

そんな新しいバッファ的機能を果たす森を、

地域毎に創る必要性があるのではないかと考えています。

 

2019.11

 

 

甲山HoneyGarden